伊皿子亭

月二回更新

悩める人へ4 - ボールのイメージ

これまで悩みの対処法について書いてきた。しかし、一言で悩みを取ると言っても、自分にとりそれが非常に重大であったり、とても傷ついた経験があると、その時の苦しい感情に苛まれて、冷静に自分を観察できないことがある。
そうした場合に有効なのが関野あやこという人が行っている方法だ。これは自分の苦しみを何らかのボールとしてイメージし、それを海に転がすことで苦しみを除去するやり方である。人の脳が感情を起こす働きはそれが現実から生じる場合とイメージから生じる場合を区別できない。この性質を利用し、イメージによって感情を取り除こうというのが彼女の方法だ。本当にそんなことで苦しみが取れるのかという疑問を持つかもしれないが、私自身これを実践し、苦滅の効率がとても良くなった。
私は、苦しみを海に転がす方法で苦とそれから生まれる感情を大部分除去しておいて、その後じっくり苦を観察して苦を取っていった。
今回が本当に最後の更新。 


 

悩める人へ3 - ニュー・アース

以前「苦」を滅する方法を紹介したが、凡そ苦しみや悩みというものは全て自分が作り出しているものである。しかしながら、その苦しみがどのように生じ、どのような構造をしているかを知らないことには、それを扱うのは容易ではない。それを現代的な表現を用いてわかりやすく説明しているのが本書である。
本書によれば、悩みというのは潜在意識内の自我=エゴによって生じるという。エゴは物や概念が所有という感覚により自己のアイデンティティと同一化された時に形成される。そして、その同一化した物や概念が傷付けられたりそれを失ったりすることでアイデンティティが損なわれると感じた場合、エゴが顕在化して、不快な感情や怒りの感情などとして現れ、我々に苦しみをもたらす。エゴは後天的環境で生み出される思考の作用である。思考=エゴが活動すると純粋意識が阻害されて人間本来の物事の捉え方ができなくなり、日々の生き方及び人生の考え方などに重大な障害をもたらす。犯罪・破滅的な一生・暴力、これらは全てエゴのもたらす弊害である。エゴはさらに発展して集団的暴力・紛争などを引き起こす。
エゴはまた状況の不満からも生じる。しかし、その状況(得てして苦境)はただ苦しみを与えるためだけに起きるのではなく、エゴを気付かせるために起きるから、避けるのではなく受け入れることが重要であると説く。
それでは、 エゴを取り除けばよいではないかと思われるかもしれない。しかし、エゴは幼少期からの環境(親や学校、社会など)で形成されるため、潜在意識に深く厚く培われており、その当人が気付かない事が多い。また、エゴは往々にして過去のトラウマと強く結びついているから、その除去は容易ではない。
では、エゴに対処する方法は全くないのか。いいや、エゴを克服するにはエゴに気付けばいいのだ。エゴは無意識の作用だから気付くと存続できないからだ。冒頭で述べた通り、結局エゴもその結果の苦しみも自分が作り出しているので、きちんと対処すれば取り除くことは可能であり、そうすれば心の平穏も訪れるのである。その詳細をここで書きつくすことはできない。だから、興味のある人は実際に本を手に取って頂きたい。私も本書で考え方が変わった一人である。
本書は少々表現がきつく感じられるかもしれないが、その遠慮のない書き方がかえって目覚めが近い人と目覚めた人の胸の奥を刺激するはずだ。その意味で魂のチャートで述べた成人期後期及び老年期の人向けの本といえる。


ニュー・アース -意識が変わる 世界が変わる-
エックハルト・トール
サンマーク出版
2008-10-17


 

プレアデス星訪問記2

母星で出会ったある女性市長はとても若々しく二十代にしか見えなかったが、実際の年齢は200歳だった。彼女が言うには、自分たちにはエゴがないため地球のように競争で心身がぼろぼろになることはなく、さらに医療が発達していること、星の寒暖差が少なく体への負担が少ないことで、地球人よりずっと長生きなのだそうだ。
彼らは長大な距離を移動するだけでなく過去に時間旅行することもできる。地球には過去の死者と会話できる霊能者がいるが、彼らはその仕組を科学的に解明してアカシックレコードに入ることで過去にタイムトラベルする技術を開発したのだという。光速以上の速度での移動でも同様のことを書いたが、どうやらこれらの技術を手に入れる鍵は現在オカルトとして片付けられる特殊能力者の能力を科学的に研究することにあるらしい。もちろんのことながら彼らには未来に行く技術もある。
理想的なのは環境だけではない。彼らが生活に必要なものは工場で生産された後配送センターから各家庭に無料で配られる。しかも物は全て必要な量生産され、地球のように過剰生産して資源を浪費することはない。
さて、そのように理想的な彼らがなぜ我々の前に堂々と現れないのかは当然生じる疑問だろう。その優れた技術や理想像を直接地球人に説けばよいではないかと。これに対し、彼らは地球人が疑い深い種族であり、国の要人に接触しても彼らを受け入れないばかりかその技術だけを得ようとしたり、彼らを監禁して人体実験をしかねないからそういうことはしないと言う。実にもっともで、よくわかってらっしゃると言うしかない。貪欲な地球人はまず間違いなく軍事技術に利用しようとするだろう。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、著者はいよいよ地球に帰ることになった。その途中宇宙船はある惑星に立ち寄った。その星は核戦争によって全都市が破壊されたばかりか全生命が死滅し死の星と化した星であった。今なお放射線の影響が強くて近づくことができない。そして、貨幣制度のためにエゴの塊と化した地球人にも同様の運命が待っている。その運命を変えることは困難ではない。地球人が競争意識を捨て他者を愛する意識になることで争いのない明るい未来を築くことができると彼らは言う。こうして著者のプレアデス訪問は終了した。


プレアデス星訪問記
上平 剛史
たま出版
2009-03